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続・中国IT製品情報強制開示について

中国IT製品情報強制開示についての続報です。前回の記事はこちらです。

アメリカのメディアであまり取り上げられていないと言いましたが、USA TodayやWashington Postに期間を延期したこと、政府調達の製品に限ることとの記事が出ていました。
USA Todayの記事:China scales back IT disclosure demands  AP通信の配信記事なので内容はWPと同じです。

記事中、個人的に興味深かったのは、以下の下り:

The rules highlight the communist government's unease about managing secrecy and its efforts to use regulation to promote growth of fledgling Chinese high-tech industries.

An official of a state-sanctioned industry group said earlier the rules were meant to support development of Chinese technology by shielding companies from foreign competition.

Requiring disclosure of technical details might help Beijing read encrypted e-mail or create competing products. Beijing tried earlier to force foreign companies to reveal how encryption systems work and has promoted its own standards for mobile phones and wireless encryption. (下線は引用者)

外国企業を締め出すという保護主義的な政策であることを中国側のソースとしてしめしたこと(「政府公認の産業団体の職員」というポジションは微妙ですが)、中国政府が暗号メールを解読するのに役立つかもしれないということ、競合製品を作るのにも役立つかもしれないということあたりを踏み込んで書いていますね。

米政府コメントの元ネタとなっている米国通商代表部のリリースはこちら

中国の譲歩を評価しつつも、まだまだですよと。(しかし、どうでもよいことですが、通商代表部のHPって政府機関ぽくないですね。 )

本件の背景としては、垂直分業からコア技術に基づく日米欧の企業との競合への移行を目指す中国のIT産業政策があると思われます。今回の強引なやり方には焦りが見えますね。背景の詳細はこちらをご参照:本当の危機はどこにあるか? 中国IT産業振興計画の狙い

しかし、この問題って、日米欧の各企業にとっては、「自分だけ開示する>全員が開示しない>全員が開示する>自分だけ開示しない」という利得の優劣関係を前提とすると(この辺の利得評価が各企業で異なってきそうなのが面白いところ)、典型的な囚人のジレンマの問題となりそうですね。

<おまけ>
強制認証の対象品目の和訳はこちらをご参照(ただし当初発表時点のものですのでご留意を):http://www.jisa.or.jp/news/649/download/301.pdf

ではでは。

 

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M&Aとファイナンスを扱う弁護士です。現在海外(米国)勤務中。法律やビジネスについて思いつきを備忘録的にブログに書いていくつもりです。また、出身の関西も気になりますので、そちらの話題も追いかけます。

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