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連合が企業買収法制を日本版シティ・コードにすべきと(でもいつの間にかアクティビストの話に・・・)

どうもlenzabileです。

少し前に、連合から、企業法制および投資ファンド規制に対する考え方が発表されました。日本版シティ・コードの導入を主張したということで、日経でも記事になっていました。もしかして民主党が政権をとるなんてことがあると結構重要なリリースになったりするのかねぇ・・・なんてことを考えつつ拝見しました。
連合のリリースはこちら

確かにシティ・コードでは、買収者の提案などの情報について労働者にも通知されるべきとされ、労働者の意見表明機会が与えられる(ただし、被買収者経営陣が意見表明する際に労働者の意見も付記するという形で)ので、従業員の意見をあまり重視してこなかった日本の裁判所の差止仮処分における判断とちがって、労働者に望ましい制度といいうるかもしれません。

しかし、日本の実務はまがりなりにも進んできましたし、その蓄積を踏まえることで混乱を避けつつ、買収側と防衛側とが公平にやりあえる着地点を探すことが今求められていることだと思います。英国型の制度を参考にすることはあれ、米国型がダメだから次は英国型を試そうという発想であるならば少々違和感があります。

ま、そういう制度論については今後気が向いたら書くとして、とりあえず今回気になったのは、投資ファンド(特にアクティビストファンド)に関する記載です。以下は連合のリリースで投資ファンドの弊害と定義を述べた部分の抜粋です。

会社を売買の対象物としか捉えていない一部の投資ファンドが、莫大な資金を背景に、株主至上主義を振りかざし、労働者をはじめとした会社を取り巻く様々なステークホルダーの利益を顧みることのない企業買収やリストラを繰り返し、雇用・労働問題にまで発展する事例や本来であれば労働者に分配されるはずの利益が外部に流出する事例も出ている。

投資ファンドとは、企業経営の意思がないにもかかわらず、自己資金を上回る借入などにより資金調達を行い、株主至上主義を振りかざしながら、高配当や株価つり上げだけを目的とするアクティビスト的な投資ファンド等をさす。
(引用終わり)

実例が記載されていないので、どのような事態が想定されているのかがよくわからないのですが、「労働者に分配されるはずの利益が外部に流出する事例」ってどういう場合なのでしょうか。「内部留保は労働者に!」という最近よく聞く考えが前提にあって、給与を上げない経営者が溜め込んでいた余剰資金が増配にまわされちまったよー!という事例なのでしょうか。でもそれって株主のせいでしょうか?

アクティビストファンドの基本戦略の一つとして、使途が不明確な余剰資金を多く抱える会社に投資して増配を要求するというものがありますが、それは過大投資などエージェンシー問題を解消するために合理的な場合はありますし、経営者が余剰資金を溜め込んでいたからといって、それは労働者に分配されたはずであったのに・・・とは言い切れないと思います。そもそも賃上げは労使間の問題として労働法制で解決すべきであって、それを株主のせいにするのはどうもしっくりきません(ま、それを分かっているからこそ「ファンドの使用者性」という議論が出てきたんでしょうけど)。

いや~、ブルドック高裁の決定といい、今回の連合のリリースといい、経営に長期間コミットしないアクティビストファンドに対するおおざっぱな悪者扱いってなくなりませんなぁ。そんなことやってるよりも、アクティビストと濫用的買収者の境界(評価根拠事実としてどういうものがありうるか等)について、個別の事例を参考により詳細に検討し、コンセンサスを形成することが必要だと思います。

そんなわけで、とりあえず、アクティビストの投資手法について気になる事例がありますので、それらについて今後(時間があれば)いろいろ思うところを書いていきたいと思います。

ではでは。

検索していると、おおすぎ先生toshi先生のブログで興味深い記事を発見したので、まだブログを始めたばかりというのにトラックバック!

 

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コメント

[C1] No title

こんにちは、伊藤先生のところから飛んできました・・・ で、自分の名前が(笑)。

(1)先ほど確認いたしますと、拙ブログのトラックバック(承認制)がまだなされていないようです。私も良くやり方を知らないのですが・・ いただいても反映されるまでに時間がかかるかもしれません(毎日確認しているとは限らないので)が、気が向けば、宜しくお願いいたします。

(2)本文についてのコメントですが、単純に制度だけを比較すると、アメリカ型のほうがイギリス型よりもステークホルダーの利益を守るのに向いているような気がします。もちろん、制度の外形だけでなく、それを運用する人によって制度の機能は変わってくるので、いちがいに「アメリカ型のほうが日本社会には向いている」ともいえませんが、連合さんのロジックに少し違和感を感じたのも確かです。

引き続き宜しくお願いいたします。
  • 2009-02-02 04:05
  • おおすぎ
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[C2] No title

おおすぎ先生

本ブログ初コメントいただきありがとうございます!
こんな気軽にコメントいただけるものとは予想していなかったものですから、少々緊張しております。

トラックバックについては、初めてのことで手が震えていたからか、うまくいっていないかもしれません・・・ご放念くださいまし。

制度論については、とりあえず現状を出発点として、運用面での弊害を微調整で対応できないかな~?と考えております。どういう状態を弊害と見るかについてそもそも意見の一致がないのですが・・・

今後ともよろしくお願いいたしします。
  • 2009-02-02 10:10
  • lenzabile
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プロフィール

lenzabile

Author:lenzabile
M&Aとファイナンスを扱う弁護士です。現在海外(米国)勤務中。法律やビジネスについて思いつきを備忘録的にブログに書いていくつもりです。また、出身の関西も気になりますので、そちらの話題も追いかけます。

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