法律を中心に、ビジネスについて思ったことをコメントします。今は海外にいて、その前は東京で働いていました。
どうもlenzabileです。
今日はこの記事から。
オバマ氏、労組強化の大統領令 前政権の政策転換
一部抜粋しますと。
「労働運動は『問題』ではなく『解決策』の一部だ。強い労働運動がなければ強い中産階級も得られない」と強調。選挙中に労組支持を得た大統領は、労組が企業内で組織化を進めやすくなる法律の重要性を訴えてきた。議会で関連法案を審議する見通し。ただ、経済界や野党共和党は警戒感を強めており、政策論争が激しくなりそうだ。
で、結構経済学者等の中では、使用者に対抗する労働組合(United Auto Workersとか)が、組合員を守るために賃上げ要求をすることは、不況においては失業者を増やすという意見があるようです。
たとえば、よりによってオバマ政権に国家経済会議委員長として入っているLawrence H. Summersが以下のように言っていたということで・・・
Another cause of long-term unemployment is unionization. High union wages that exceed the competitive market rate are likely to cause job losses in the unionized sector of the economy. Also, those who lose high-wage union jobs are often reluctant to accept alternative low-wage employment.
政権内の矛盾をマンキューに突っ込まれています。
日本でも、派遣に対する規制を強化するという流れに対し、「『労働者保護』の強化は必ずしも労働者の利益にならない」という命題が、池田信夫先生のブログで主張されています。
労組組合員正社員>>>非組合員正社員>>>>>>派遣労働者>失業者という厳然たる構図(政治的な意味も含めて)。労働者保護というときには、まあ失業者保護は含まれてません。
不況と戦う労組結成仕掛け人というような人のところに駆け込むことも、失業しそうな人達個人の戦略としては合理的なのかもしれませんが、マクロで見たときには、不況時こそ全体のパイを広げるために人材の流動化を図り、イノベーションの余地のある産業に人材を投入する必要があると思います。効率性に配慮した組合活動指針や解雇法制は検討の余地ありですね。
ただ、やはり現状の日本では会社をクビになるとどこにも就職できないという不安は大きい。それはおそらく終身雇用の慣行が続いていたことからということもあるでしょうが、会社で身につけるスキルがその会社独特のものであったりする点に問題があると思われます。一人のビジネスマンとしていつでも独り立ちできる準備をそれぞれがやっておく必要がありますな。ミクロの個人個人の戦略を変えると。
Author:lenzabile
M&Aとファイナンスを扱う弁護士です。現在海外(米国)勤務中。法律やビジネスについて思いつきを備忘録的にブログに書いていくつもりです。また、出身の関西も気になりますので、そちらの話題も追いかけます。
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日本でも毎日のように派遣問題について切られた人が可哀そうというスタンスでの報道が流れていてうんざりしています。
先日、外の会社の方と話していたのですが、その方が言うには、派遣切りをしにくくなると、派遣社員を使う意味がなくなるので、派遣社員の保護を訴える過ぎると、会社は派遣を使わなくなって逆効果ではないかとと言っていてなるほどそういうこともあるのかと思いました。
また、日本国内では製造業の派遣を禁止するような政治の動きもあるようですが、禁止したらしたでこれまで製造業の派遣をしている人のほとんどは正社員にしてもらえず失業する可能性が高いので、本当に保護になるかは疑問です。
日本国内でも、労働法分野については、規制強化するのがほんとに労働者の利益になるのかは疑問だなと思います。
派遣問題については、いつ切られるか分からない契約なのになんで貯金してないの?って話で、派遣というのはそういうものだけど選択するのという個人の戦略の話のような気がします。